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微睡みに蝶

あぁ 破れ蝶       

この頭上を飛んで

魂まで

運んでゆこうと・・・

 

あぁ 影絵のよう

目蓋越しに ひらり

眠りまでも

脅かすだろう

 

陽溜まりに溺れ

風を聴き            

夢でも見ているの

僕は

 

藻掻く爪も持たず        

手の平は千々の羽(は)と舞い

飛び立つ意も持たずに

焼かれ 想う 命

永久を引き連れないで

 

 

 

ねぇ 春が散れば

花と同じ 君も

身は滅ぶの?

甘い香り撒き

 

ねぇ 嵐去れば

空は青く 雲も

君も無くて

綺麗に消えるの?

 

陽溜まりに沈み

風は止み

夢すら恐れてる

僕は

 

愛でる指も爛れ

手の平は病葉(わくらば)と朽ちる

還るための祈りも

再来の涙すら覚えず

 

さぁ 潔白(しろ)に染まれ

 

 

藻掻く意味を知れば

手の平は広がる両翅(つばさ)に

蜜の酔いも醒めて

森は静けさにざわめいた

 

落ちることを知らぬ蝶よ

光に透ける骨はきらめいて

絶える刻が来ても

君は気高く美しいから

 

 

ただそれさえ 窓の向こう

僕が見てた 幾刹那ほどの

世界なのに

 

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